パソコンやインターネットに関する本

イケイケドンドン的な上滑りのものでなくキチンとした批判書や実践と考察に
裏付けられた本をご紹介します.

インターネットはからっぽの洞窟.クリフォード・ストール.草思社.
原書名:Silicon Snake/Second thoughts to on the Information high way.
By Clifford Stoll.
有名なインターネット批判.時代遅れだとの指摘もあるが,人間の知的活動と
インターネットやパソコンのミスマッチについて鋭い考察がある.

インターネット中毒.キンバリーヤング.毎日新聞社.
アメリカで深刻化しているインターネット中毒に関して心理学者が研究したも
の.日本でもこの種の中毒が深刻化するだろうから学校関係者は読んでおいた
方がよい.

コンピュータが子どもの心を変える.ジョーン・ハリー.西村耕作,山田詩津
夫訳.大修館書店.原書名:Failure to connect. How Coumputers affect our
chidren's Minds for better and worse. By Jane Healy PH.D
教育心理学者が書名通りコンピュータが子どもの心をいかに変えるかを自分の
実践に基づいて考察し学校にコンピュータを導入する際の提言をしている.

メモの技術.--パソコンで「知的生産」-- 中野不二男.新潮選書.
ノンフィクション作家の著者がパソコンを中心とした【システム】でいかに仕
事を進めているかを実践的な面から紹介している上に原理的な思考もされてい
る.

*1.パソコン「超」仕事法.2.知的生産とパソコン.3.インターネット 「超」活用法.
4.シンデレラのパソコン「超」活用法. いずれも.野口悠紀雄. 講談社.

これだけ冊数が多いと重複する内容が多くなるのだが,いずれも実践に基づ
き優れた原理的思考に支えられている内容だ.なお著者は「超」整理法.中
公新書でこのジャンルにデビューした.発想の原点はこの本にある.

野口氏のホームページ http://www.noguchi.co.jp/ は本の
内容の一部が紹介されているだけでなく大変優れた内容です.

情報を捨てる技術.諏訪邦夫.ブルーバックスB-1305.2000-11-23

情報を捨てる方法とは言い換えると情報の活用法で特に参考になったのは
P135ー”日誌で仕事をする”のタグジャンプの活用法です.

私は現在QXエディターとdanaというエディターを使っていてタグジャンプ
は両方とも付いていてGREPと共にそれなりに使っているのですが,改めて
タグジャンプの使い方に気づきました.

ファイルからの検索(GREP)について超整理法の野口氏が優れた解説を書
いておられます.
http://www.noguchi.co.jp/archive/operandi/03.html
の3.検索によるファイル管理
私はこの記事を雑誌で見たとき私はそれまでにこの機能を使っていましたの
でこの機能の凄さをすぐに再認識しました.(特に<GREPによるファイル管理>)

*いつまでバグを買わされるのか.マーク・ミナシ.ダイヤモンド社.2000-11-23
副題.平気で欠陥商品を売る業界の内幕.

この本の要点はこうである

みんながガラクタを買い続けている限りガラクタしか手に入らない.

ソフトは機能は高いが品質は低いと著者はいう.(私も同感)
機能の多さが売り上げにつながる現象はソフトだけでなく他の製品に
も言えることだろうが,欠陥(ソフト業界ではバグという)があっても
平気で売るのはソフト業界の体質だろう.それは何故かというと私た
ちが機能は多いが品質が低いソフトを買い続けるからだ.
言い換えると私たちはパソコンを本当の道具として使っていない
と言うことである.

本書から.

新しい機能は無いが,バグが無いソフトは売れぬ.
アップグレードでなく修正を要求せよ.
4ドアの車を注文したら2ドアの車を持ってきた.その言い分は
「窓もドアの一つですから…」

*コンピュータに育てられた子どもたち.2000-11-23
アリソン・アームストロング他.
七賢出版.原題はThe child and machine.
Why Computers may put our children's education risk.

現在コンピューター教育に関してはIT等の言葉の元でイケイケドンドン的な
風潮があるが,本書は

教室へのコンピュータ導入と「進歩」という幻想.

に始まるキチンとした教育学,社会学的考察に基づく小学校でのコンピュータ
教育に関する批判書である.特に小中学校でコンピュータ教育に携わる方は
読んでおくべきで,この本で指摘されているコンピュータ教育の弊害をどう克
服するかを考えて仕事を進めるべきだと思う.