これは私がもっとも効果的な研修だったと考えるある小学校での研修日誌です.
この日誌とほぼ同様の内容の日誌はこの小学校のLANに入っており先生
達は校内のパソコンで自由に読むことが出来,研修の復習や欠席した先生は
その内容を確認する事ができる.校内ホームページの一種である.
校内ホームページの発想もこの学校で生まれました.

2000年.パソコン研修日誌.今津修一

1月25日.
初めて訪れたにもかかわらずいきなり一年生のパソコンの授業に参加させて
頂きうれしく思いました.一年生はゲームのようなもので遊んでいましたが,
メニューが英語だったりスタートボタンのかなり奥からソフトを器用に起動して
いたのには驚きました.

昼休みは先生と共に五年生がパソコン室にやってきて”私たちの歳時記”の題
材をインターネットで調べていました.例えば雪のかまくらを調べるために
Yahooで”かまくら”と入力するのですが,結果は神奈川県の鎌倉や鎌倉時代
の事が出てくるのです.私はYahooにおけるAND検索の方法をご説明しました.
つまり”雪 かまくら”と入力するのです.そうすると雪のかまくらの事が出
てきました.子ども達は新聞のようなものを作っておりそれに調べたことを書
き込んでいました.私はすっかり感心しました.立花隆が東大で【調べて書く】
というゼミを行った事があるのですが,それと同じ事をここでやっていると思
いました.これが名作私たちの歳時記のかまくら.

午後はOZ先生のインターネット(ホームページ)を使って日本国憲法の授業
に参加させていただきました.さらにYK先生の五年生のクラスで
http://www.hoops.ne.jp/~syuLove/
の1.Our Guide to the Shenandoah Valley
を紹介したら子ども達はたいへん興奮したようでした.

放課後は先生方の研修でした.私は文部省の方のメール
> 現場の先生方がど
> んな問題(例えば、学級崩壊、不登校、落ちこぼれなど)
> をかかえており、様々な「道具」がそれにどのように対応
> できるかーーーという視点が、関係者(文部省の人々も含
> みますが)の間で不足している(コンピュータが入ると、
> 何か画期的なすばらしいことに使わなければならない、と
> 思ってしまう人が多い)ことが問題だと、個人的には思っ
> ております。

> また、「現場の肉声」を聞くチャンスの少ない私どもに
> とっては、お送りいただいたような情報を得ることは、
> 大変貴重なことです(霞ヶ関の人々は現場に感心がない
> とお思いかもしれませんが、実際には、現場に触れる
> チャンスを与えられないまま政策立案を強いられている
> ーーーという側面もあるのです)。

を紹介してインターネットは人を結ぶとし,五年生のクラスで行ったように
Our Guide to the Shenandoah Valley
を見ていただきました.さらにYahooでの検索法をご説明しました.

2月8日.
YK先生の五年生のクラスにアメリカの小学生が作ったビデオをお見せしまし
た.そして折り紙をもらいました.放課後の研修では

1.電子メール(フリーメールサイト紹介)

2.ホームページから絵や文字などのデーターを取り込む

3.異なったソフト間でデーターを交換する.(コピーアンドペースト)
たとえばネットスケープの場所http://何とかをメモ帳にコピーする.
(WINDOW【S】の意味)

を行いました.アメリカからのビデオをOZ先生にお貸ししましたところ

> 今日、6年生の社会科の学習で、先生からお借りしたビデオを
> 子ども達に見せました。子ども達は非常な興味と関心をもって
> 見ていました。広々とした校庭、すばらしい学校の設備などに
> 驚いていました。特に、「バナナは浮くか沈むか」の実験や、
> 子ども達のリコーダーの合奏などがよかったようです。
> 子ども達が主役のビデオというのがいいですね。
> 先生が5年生の子ども達に話しておられたことを思い出しながら、
> 説明しました。

という嬉しいメールを頂きました.

2月16日.

前回の 3.異なったソフト間でデーターを交換する.(コピーアンドペースト)
の復習に続き4.エクスプローラーを使ってファイルを整理.
さらに画像処理をご紹介しました.
そして先生方と話しているうちに校内ホームページの構想が浮かび上がってき
ましたので試作品を作ってみることにしました.それがこれです.

2月25日.YN先生の二年生のクラスで
http://www.hoops.ne.jp/~syuLove/hprensyu.htm
を使ってホームページの見方を説明しました.これで
1.ネットスケープを立ち上げる.2.ブックマークの使い方.
3.画面の上下(スクロール)4.リンク(指マーク)5.←の戻る.そして”待つ”
を教えることができます.

さらに子ども達から折り紙を頂きました.これで当分海外に送る折り紙には不
自由しません.

午後の研修ではまずマウスの掃除をしました.これが案外盲点でマウスが自由
に使えない原因の一つがマウスの汚れです.マウスが自由に使えないとパソコ
ンは思うように動いてくれませんから大事な作業だと思います.

次はコピーアンドペーストの復習をしてから校内ホームページのご紹介.そし
てYN先生のクラスで行ったホームページ閲覧方の指導の例をご紹介しました.
さらにスキャナーを使って画像を取り込んでみました.その間先生方にはネッ
トワークサーフィン(ホームページを自由に見る)をしていただきました.
またヤフーキッズ
http://kids.yahoo.co.jp/
の下の方の
>ウェッブのかしこい歩きかた | ご両親に知っておいていただきたいこと

優れた内容です.これからは家庭にインターネットがさらに普及すると考え
られますので,このような指導は学校でも必要になるかも知れません.

3月3日.
春の訪れを思わせる暖かい日でした.学校にはいると2000年新聞という子
ども達が作った壁新聞が目につきました.そしてOZ先生の理科の授業に
参加させていただきました.子ども達は微生物のビデオを見ながらメモを取り
それを発表していました.「発表したい人」と言うと多くの子どもがハイ,ハイと
手を挙げていました.先ほどの2000年新聞とともに発表型の教育が行われて
いるのだと感心しました.パソコンもこんな環境でこそ活きるのだと思います.

五時間目は一年生のパソコンの授業でした.CUBEの紙芝居機能を使って子ども
達は絵を見ていました.六時間目は四年生にホームページの見方を説明しまし
た.練習用ホームページを使って

1.ネットスケープを立ち上げる.
2.ブックマーク
3.画面の上下(スクロール)
4.リンク(指のマーク)
5.音を聴く.
6.←の戻る

を説明しました.これだけ出来ればホームページをかなり自由に見ることがで
きます.子ども達はOur Guide to the Shenandoah Valleyの向こうの子の声に
興味を持ったようです.最後にYahooKidsに行って何か検索をと思いましたが,
時間切れでした.子ども達も残念そうでした.しかし今回練習した事を使うと
かなりYahooKidsを使いこなすことができます.さらに進むと2000年新聞(子ども
達が作った壁新聞)のように自分たちでホームページを作る事ができます.

放課後の先生方の研修ではそのホームページ作りに取り組むことになりました.
その前にパソコンの【改行】を説明しました.これは簡単なようで理解してい
ないと混乱の元になります.

あいうえお
かきくけこ
さしすせそ

この”お” と ”こ” と ”そ” の後には改行コードが入っています.これらの改
行コードを削除すると

あいうえおかきくけこさしすせそ

とつながります.

ホームページ作りの方ですがネットスケープのComposerを使いました.無料の
ソフトですがなかなか使いやすいソフトだと思います.

ホームページの基本要素

1.字を大きくしたり色を付けたりレイアウトしたり等の字の処理.
2.絵を入れる絵の処理.
3.リンク

の三つを含んだホームページを作ってみました.絵はYN先生のクラスの子
が昼休みに作ってくれた雛人形をOZ先生がデジカメで撮影したのを使いまし
た.その写真を画像処理したのがこれ.私はこの写真を多くの国の人に見ても
らいました.

研修は1.の字の処理が終わったところで5時になったのですが,多くの先生が
全部やろうと意欲的だったので全部やってしまいました.一人前のホームペー
ジを作った訳です.一部の先生はホームページ作成と平行して表計算ソフトの
練習もしました.それを再現して説明したのがこれです.このように表計算ソ
フトは大きな可能性を持っていますので今後ホームページ作りと並んで表計算
も取り上げたいと思います.

3月10日.

4時間目は6年2組の卒業にあたってのメッセージカードのようなものを作るお手
伝いをしました.なかなか力作が多かったです,
5時間目に3年3組がキューブペイントで、写真を貼り付けて「自己紹介」のカードを
作るお手伝いをしました.

放課後は事務の先生に前回に引き続いて表計算をご説明しました.そして前回研修を
休んでおられた先生には前回のホームページ作りを続いて今回予定していた表を作り
その中に絵を貼り付けるというホームページ作りの応用をやっていただきました.
わりとスムーズに出来たと思います. これは校長先生の作品. その間OZ先生が
校内ホームページをドンドン拡張しておられました.これもゼヒご覧下さい.

3月15日.


四時間目,五時間目は五年生の理科の授業に参加しました.子ども達はインター
ネット(Yahoo kids)で動物を調べていました.例によって遅いので四時間目
の子はお昼休みに再びパソコン室に来て調べていました.五時間目の子ももっ
と調べたかったようですが,六時間目は六年生が来て前に紹介した卒業のメッ
セージカードを作るので断念しました.六時間目はさらにPTAの方も来られて
卒業生に送る新聞のようなものをWordで作っておられました.最後の仕事にふ
さわしい風景でした.

話をお昼休みに戻すと最後という事もあって校長先生と一緒に給食を頂きました.
私が小学校の時の給食の思い出を話すと校長先生は「小学校の思い出は給食の
思い出が強烈だ」と仰いました.そしてその校長先生は戦後給食が始まった時
は小学三年生だったそうです.当時は給食と言ってもパンとマーガリンそして
脱脂粉乳だけの貧しいものだったそうです.それがここまでの内容になったと
感慨深げに給食を眺めておられました.そしてお互いの小学校時代の思い出を
話したのですが,そのうちインターネットの有害ホームページを規制する話になり
"私の生い立ち"のような実践をしている学校の子と単に教科書を詰め込んだ上
に躾の名目で子どもを叱るだけの学校の子とでは有害サイトと呼ばれるものの
反応が違うだろう.サイト規制という対症療法も必要かもしれないが,本来の
教育を実践するのが一番の対策ではないかなんて話をしました.

それに関して校長先生は私は毎朝校門に立って子どもに声をかける.その反応
で子どもの様子が分かる.自己受容が出来ている子は寄ってきたり手を挙げた
りして自己表現をする.そうでない子に問題を抱えている事が多い.学校では
そのような子を完全にはフォロー出来ない.だから地域や家庭との連携が必要
だとの旨仰いました.つまり心の教育が大事と言う事.そして学校で何を習っ
たかは殆ど記憶にありませんなぁと言って笑いました.

            パソコンが教育にどう貢献するのか

小中学校でパソコンを教える必要があるのかという話になりました.大学や専
門学校でパソコンを教えた経験から言うとパソコンを触ったことが無い新入生
でも週に数時間教えれば夏休みに入る前にはかなり使えるようになる.第一パ
ソコンなんて数年で大きく変わる.だから小中学校でパソコンを教える意義は
直接には無いのではないかと申しました.

しかしパソコンは表現やコムニケーションの有効な道具であるから発信型,参
加型の教育に変えていくにはパソコンは強力なツールになる.
発信型,参加型
の教育というのは心の教育と結びついている.そう言う意味で小中学校でパソ
コンを教える意義があるのではないと申し上げました.それに多くの子どもが
パソコンに熱中する.パソコンの授業をするとたいてい時間オーバーで休み時
間まで子どもは熱心にやっている.普通の勉強では考えられない風景である
(笑)後はパソコンになじめない教員や教員に比べその割合は少ないと思いま
すが子どもをどうするかという話をしました.
(要は他のことで活躍すれば良いと言うこと)

以上でK小学校のパソコン研修日誌を終わります.私を暖かく迎えて下さった
K小学校の皆さんにお礼を申し上げます.ありがとうございました