NASAのインターネットを使った教育プロジェクトのLive from *シリーズの説明

*に入るのはAntarctica, Stratosphere, the Hubble Space Telescope, Mars, Rainforest,そして'99年11月現在はSunとStormである.

これらのプロジェクトのうたい文句はReal Science, Real Scientists, Real Locations, Real Timeであって実際は以下の3つが柱になっている.

A. インターネット(ホームページ,メーリングリスト,チャット)
B. 本,ポスター,CD,実験セットなどの教材キット.(数十$−数百$)
C.TV放送またはそのビデオ.

実際はこの3つは関連しており例えばインターネットで教材キットにある実験について討論したり,TV放送放送で取り上げてほしい質問や内容を書き込んだりしている.チャットで面白いと思うのは現役の研究者が参加するのだが,その研究者が自伝を書いてホームページに張り付ける.子ども達はそれを読んでチャットに参加する事を奨励されている.


NASAがやっているから科学中心になるのだが,科学だけでなく社会や文化,芸術など幅広い分野をカバーするように考慮されている.例えばLIVE FROM THE SUNでは太陽と人間の歴史,習慣もテーマの一つである.どのプロジェクトでも絵を描いたり,インターネットに参加するには字を読んだり書いたりするのが必須であるし,私のように外国からの参加者があるので社会の勉強になる.

実際のプロジェクトを一つ一つを解説すると長くなるからLIVE FROM the Hubble Space Telescopeについて説明すると,ハイライトはThe Great Planet Debateと題してHubble Space Telescopeを使って木星,天王星, 海王星, 冥王星のどれかを観測しようと言うもので,具体的にどれを観測するかをメーリングリストで討論する訳だ.
あるクラスはそれぞれの惑星の班に分かれてそれぞれの惑星を本やインターネット等で調べる.そしてその絵も描く.その結果を持ち寄ってクラスで討論し観測する惑星を決めてメーリングリストに投稿する.当然色々な意見が出るわけだが,もっとも簡潔で説得力があったのは冥王星のMost far and most unknownであった(笑)

ところで私はこのTeacher's kit($18位)を購入しましたが,色々な冊子に加えてポスター,スライド,回折格子,赤外線等に反応する感熱紙など立派な内容でした.いずれのプロジェクトでも生徒が出来る簡単な実験(Hands on scienceという)と実際の科学者を含む生徒や先生とのやり取りが目玉になっている.

プロジェクトの問題点.


まずどの革新的なカリキュラムでもそうなのだが,普通のカリキュラムと合わせるのが難しいと言うこと.次はK-12つまり幼稚園から高校生まで広い範囲を取り扱う事になっている.実際は小学校高学年-中学が中心だが,それにしても幅が広いので,クイズ等も数種類用意して欲しい等の要望が出たりしている.

またアメリカならではの要望だと思うのだが,テキサスの先生が「私のクラスでは英語が出来る生徒や親は半分位であとはスペイン語だ.だからスペイン語のバーションも出して欲しい」等の要望が出ている.なお私がこのプロジェクトで学んだ事の一つに次の
インターネットの教育利用がある.


インターネットの教育利用

インターネットの教育利用と言うと学校に最新のパソコンを導入してというイメージがあるが,そうではなくやり方やシステムが大事だと言うことを次の事例で考えてみよう.

NASAの火星探査を教育に利用しようというプロジェクトのメーリングリストである先生が「私の州では学校にパソコンが少なく,ましてやインターネットに接続している学校はほとんど無いからこのプロジェクトに参加できない」という書き込みがあった.それに対してNASAの人が,先生がemailが使えるなら週に一度位emailを使って,学校でやったこと(NASAはTeacher's kitと言う実験などを集めた本を数十$で用意している)や質問などを書き込めば,NASAのスタッフや他の先生が応答してくれる.それを学校に持ち帰り生徒に知らせさらに作業を進めてその結果を次の週にでも再びemailすればいいではないか.と言うものだった.emailだけなら10年以上前のパソコンでも出来ます.
つまりやり方が大事なのであってどんな機械を使うかは二次的なものなのだ.